
ABC分析と活用方法~分析データの上手な活用方法~
2021年12月22日
データ分析法の1つである「ABC分析」を知っていますか?業務分析やマーケティングにも使われることがある分析法です。
物流業界では、主に在庫管理に活用されます。どの製品がいつ・どれくらい需要があるのか把握し、需要に見合った物流オペレーションを行うためにも、在庫管理においてABC分析をすることは大切です。今回は、ABC分析の基本的な考え方と、物流業界における実際の活用方法をご紹介したいと思います。
ページの目次
ABC分析とは?
ABC分析とは、売上金額や在庫金額などの指標の中から、重視する指標を決めて、その指標の大きい順に製品をランク付けし、優先度を決めて管理する方法です。
例えば、累計売上金額の80%を占める商品をA、90%前後までの商品をB、それ以外をCと分類し、A>B>C の順に優先度が高い製品として管理する考え方です。
ランク付けした結果はグラフにしてデータを見える化することで、現状の把握がしやすくなり、優先度をもとに事業戦略を立てることができます。
ABC分析の手順
では実際にどのような手順でABC分析を行うのかご紹介します。
①重視する指標を決める
何を分析するかによって、また、活用目的によって重視する指標は違いますので、目的に合った指標を決めましょう。今回は例として売上金額を重視する指標とします。
②分析に必要なデータをまとめる
重視する指標を決めたら、分析する製品ごとにその指標のデータを収集してまとめていきます。
製品の売上金額を重視する指標と決めていますので、製品ごとの一定期間の売上金額データをまとめます。データ収集の際には、WMS(在庫管理システム)に蓄積されたデータを抽出すると、より早く、効率的に収集することができるでしょう。→WMSについて、詳しくはこちら
③売上累計構成比を算出し、ランク別にグループ分けする
データが集まったら、各製品の売上構成比を算出しましょう。
売上構成比とは、その製品の売上が全体の売上に占める割合のことで、「対象製品の売上金額÷全体の売上金額」で求められます。
続いて、各製品を売上構成比が大きい順に並び替え、売上金額が全体に対し、どのくらいの割合を占めているか、累計構成比を算出します。
そして、累計構成比の80%を占める製品をAランク、90%前後までの製品をBランク、90%以上の製品をCランクとします。
④分析表を作成する
ABC分析の結果は、図にして見える化するのがポイントです。今回はパレート図をご紹介します。
パレート図とは、あるものを構成する項目ごとの値、あるいは階級ごとの度数を大きい順に並べたものと、その累積の構成比を表す折れ線グラフを組み合わせたグラフです。売上金額を指標とする場合は、各製品の売上金額を棒グラフで並べ、累積構成比を折れ線グラフで表現します。
パレート図を利用することで、各製品の売上金額が明確になり、全体でどれくらいの割合を占めているのか一目で分かるので、重要性や改善を行う優先順位をつけやすくなります。
ABC分析の活用方法と注意点
さて、分析結果が整理できたら、実際に活用してみましょう。活用方法の一例をご紹介します。
例1)ランクごとの製品の管理方針を決める
Aランクの製品は重要度が高いので、常に状況を把握し、管理する必要があります。逆に、Cランクは、重要度 (売上) を上げるために、宣伝やマーケティング活動に力を入れたり、製品の取り扱いを止め、代替の製品を用意したりするなど管理方法は変わってきます。
見える化することで浮き彫りになった課題に対して、適切な管理方針を決めていきましょう。
例2)改善前と改善後の比較を行う
ABC分析で見えてきた課題は、改善活動を行ったことで状況が変化したはずです。改善後の分析結果をパレート図で見える化し、改善前と後での効果検証を行いましょう。改善結果が著しくないのであれば、さらなる改善案を出すなど、PDCAサイクルを回して活用していくことが大切です。
一方で、分析結果として使用するデータの中に、以下に当てはまるものがある場合は注意が必要です。
・季節ものや期間限定もので、売れる時期が明確な製品
・テレビや広告で宣伝された、またはSNSで流行っているなど、一時的に需要が増加するものの、
いずれ減っていく製品
・新製品など、売り出し直後は売れるが、数か月後には需要が安定してくる製品
・おすすめ製品など、販売店で積極的に販促活動を行っている製品
こうした一時的に売上が増減する製品を他と同じようにランク付けしてしまうと、欠品や余剰在庫の発生につながってしまう恐れがあります。
このような事態が起こらないように、マーケティング担当者など、社内の他部署の担当者と情報共有しておくことも大切です。製品の販売計画や売上増減の背景なども把握するように努めましょう。
また、気付かないうちに状況が変わっていた、ということもありますから、一度ランク分けした分析結果を長く使用せず、定期的に見直しを図るようにしましょう。
物流におけるABC分析の活用方法
これまで述べてきたように、ABC分析は、売上拡大の施策(マーケティング等)に活用することができますが、もちろん物流においても役立ちます。物流におけるABC分析の活用方法を、2つご紹介します。
活用方法1)適切な保管方法の選定
全ての製品の保管を同じ方法で行っていませんか?実は、製品の特性によって適切な保管方法があり、重視する指標を「出荷数量」としてABC分析をすると、適切な保管方法を導き出すことができます。
例えば、出荷数量が多い Aランクの製品の場合は、1商品の保管スペースを大きく、例えばパレット単位とする場合が多いです。
一方、出荷数量が少ない Cランクの製品の場合、Aランクの製品と同じ保管方法ではスペースが無駄に大きくなってしまう可能性があります。その場合は、製品を箱から出し、1週間分の出荷数量を棚に保管するなど、必要量のみを保管することで、無駄な保管スペース削減することができるでしょう。
活用方法2)オペレーションを改善する
重視する指標を「出荷頻度」としてABC分析をすると、倉庫内のレイアウト改善に役立てることができます。出荷頻度が高い Aランクの製品は、ピッキングの回数が多いので、ピッキングのスタート地点の近くに配置することでピッキング動線を短くすることができます。また、棚保管の場合には取り出しやすい高さに配置することで、ピッキングの効率アップに繋がります。
製品の保管場所をロケーションと呼びますが、レイアウトを見直す際に製品の出荷頻度に合わせたロケーション決めにより、ABC分析の結果をオペレーションの効率改善にも役立てることができるのです。
▼関連ブログ:鈴与の在庫管理システムとは?
▼関連ブログ:適正在庫を維持する3つのポイント
輸送から倉庫保管、倉庫内オペレーション、国際物流までワンストップで対応。
お客様に最適なソリューションをご提案いたします。
☑ 全国145か所の自社倉庫から最適な倉庫立地をご提案
☑ 様々な商材・業種の物流センター運営実績あり
☑ 化粧品/医療機器製造業、食品加工等のライセンスも保有
☑ 柔軟性の高い自社開発の倉庫管理システムの活用
☑ BtoB/BtoCなど多様な販売チャネルにも対応可能
☑ 輸出入の通関業務、国際輸送サービスも展開