
2024年問題への対策できていますか?~中継輸送の導入事例~
2022年6月13日
多様な働き方が増えてきた近年、働き方改革として労働時間の上限規制がなされ、職場環境の見直しを図った企業も
多いのではないでしょうか。運送業界ではドライバーの労働時間の上限規制が適用される2024年を前に、急ピッチで
対策を講じる企業が増えてきています。
今回の内容は、2024年問題の解決策の1つ、中継輸送についてです。2024年問題をご存じない方から、中継輸送を
知っているものの、どのようにして自社物流に取り入れるべきか模索されている方にまで、基本的な説明と最新事例をご紹介します。
ページの目次
2024年問題とは
2024年問題とは、働き方改革関連法で定められる時間外労働の上限規制により、物流業界・運輸業界で生じる問題の
総称です。時間外労働の上限規制が2024年に適用されることで、トラックドライバーの拘束時間の短縮や、トラックドライバー1人での移動距離の制限などといった問題が生じてくる、これを総称して「2024年問題」と呼んでいます。
トラックドライバーの移動距離が制限されると、従来運べていた長距離輸送ができなくなり、より多くのドライバーが必要になります。しかし、近年はトラックドライバーが高齢化しており、このままでは深刻なドライバー不足に陥り、貨物を運べない事態になり兼ねません。
*2024年問題については、こちらにも詳しく記載しています。
ブログ:「2024年問題とは?荷主に及ぼす影響と鈴与の対策事例」
2024年問題の対策「中継輸送」とは
こうした深刻なドライバー不足の対策の1つとして、中継輸送が挙げられます。
中継輸送とは、一つの行程を一人のドライバーが輸送するのではなく、複数人のドライバーで分担する輸送です。
国土交通省は2022年4月26日、中継輸送の普及促進のため、中継輸送に向けたポイントや最新の取組事例を
取りまとめたリーフレットを発表しました。
このリーフレットでは、中継輸送の方式を3パターンに分けて紹介しています。
パターン1:ドライバー交替方式
中継拠点でトライバーが交替する方式です。貨物が積み込まれた荷台を交換しないため、トレーラーだけでなく単車での実施が可能で、中継地点での交換作業も短時間に抑えることができます。
他のドライバーの車両を運転することに抵抗があるドライバーに対しては、ドライバー同士で車両内の使用ルールを定めるなど、働く環境への配慮も大切です。
パターン2:トレーラー・トラクター方式
中継拠点でトラクターの交換をする方式です。貨物が積み込まれたシャーシと切り離すため、牽引免許をもつドライバー同士の交換が必要ですが、貨物の積み替えは発生しないため、交換作業は短時間で終わります。
パターン3:貨物積替え方式
中継拠点で貨物を積み替える方式です。積替え作業が発生するため、最も作業時間が長い方式です。対策として、荷主に貨物のパレタイズを許可してもらい、パレット単位での積み替え作業に変更することで、作業時間を削減した事例があります。
※参考:中継輸送実現に向けたポイント ー国土交通省
中継輸送の取り組み事例
鈴与の中継輸送の取り組みも、国土交通省のリーフレット内で取り上げられましたので取り組み内容とポイントをご紹介します。
【関東・関西間における複数荷主による2拠点中継輸送】
- 実施事業者:鈴与株式会社、株式会社Mizkan Logitec、三菱電機ロジスティクス株式会社、中部抵抗器株式会社、
サッポログループ物流株式会社、A社
- 中継方式:スワップボディ方式
スワップボディとは、車体と荷台部分を切り離すことで、運行効率向上とコンプライアンス運行を実現した鈴与の戦略車両です。2章でご紹介した、パターン2:トレーラー・トラクター方式にあたります。
- 各事業者が取り組み前に抱えていた課題
・2024年問題にあたり、長時間運行、作業負荷増に対する労働環境の改善が必要
・運行経路によっては、輸送効率が低い運行が発生している
・サステナブルな社会を実現するため、Co2排出量の削減が必要
- 取り組み内容
業界を超えた荷主5社の貨物を、鈴与の荷台と車体の切り離しが可能なスワップボディ車を活用して、千葉~大阪の
中間地点に位置する静岡県静岡市と愛知県小牧市の2拠点で中継輸送を行うことで、500km以上の長距離輸送を無くし、ドライバーが毎日自宅に帰り休息を取る事が出来る、持続可能な運行を実現。
また、鈴与が構築したDXの仕組み「Cargo Navi」※を用いて「物流の可視化」も達成。
※ 運行進捗管理システム「Cargo Navi」
GPSによるトラック位置情報と、作業状況(出庫・待機・作業)を確認できる配送進捗管理システム。運行中の車両動態をリアルタイムに把握し、道路渋滞や待機発生等の異常があれば荷主と情報を共有するほか、中継先の車両へも迅速に指示を出すことで、中継輸送の安定的な運用を実現。
- 取り組み結果
効果➀輸送台数・ドライバーの労働時間の削減
ドライバー不足の解消として最も効果的である、輸送台数やドライバーの労働時間の削減を実現
・車両使用台数:増トン車500台/年 (40%)削減
・待機時間 : 2時間/台 削減
効果➁車両から排出されるCO2排出量を削減
空車で集荷に向かっていたルート(上図 点線矢印部分)を削減したことで、158.2t-CO₂/年=37%の削減効果
効果➂輸送効率の向上
複数事業者が取り組みに参加したことで、各事業者が、輸送効率が悪いと感じているルートを組み合わせて効率的な
輸送を実現し、往復実車率は93.6%に向上。
※参考:中継輸送の取組事例集(令和4年4月 改訂) ー国土交通省
中継輸送とはどのような取り組みなのか、また事例を通して中継輸送に取り組むべき理由や得られる効果をお分かり
いただけたでしょうか。 中継輸送は、2024年問題の対策の1つであるだけでなく、様々な物流課題を解決することができる取り組みと言えます。
鈴与は約10年前から中継輸送に取り組んでおり、本事例でご紹介したスワップボディだけでなく、トレーラーによる
運行も行っています。
現在、月間1,000台以上の取扱いがあり、かつ静岡県内を中心に複数の中継拠点を構えることで、多様な発着地、距離帯に対して、中継輸送をご提案出来る体制を構築しています。
鈴与の国内輸送サービス、中継輸送の取組みにご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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この取り組みは表彰もされています。
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