
輸出化粧品の市場規模/輸出する際に必要な準備とは?
2020年11月11日
前回のブログでは輸入化粧品についてお伝えしました。
今回は、輸出化粧品について、現状の市場の動向や状況、輸出の際に必要となる準備についてお伝えしていきたいと思います。
輸出化粧品の現状は?
財務省貿易統計によると、化粧品(スキンケア、ヘアケア、メイクアップ、香水など16品目)の輸出額は、
通年で6年連続過去最高を更新しています。2015年から急増し始め、2016年には輸出額が輸入額を上回り、
2019年には8,176億円に達しました。アジア向け輸出がけん引したとの見方通り、
輸出先をみると近年は中国・香港・韓国・シンガポールなどの伸びが目立ち、
特に香港・中国向けが全体の6割弱を占めています。
化粧品のほとんどの品目で輸出向けの出荷が伸びているものの、
中心となっているのは化粧水や美容液、乳液といった高価格帯のスキンケア商品です。
高品質の日本製化粧品は、アジア地域で特に人気が高く、訪日観光客が日本で購入した化粧品を気に入り、
その後、現地の店舗や免税店、インターネットを通じてリピーターとなるケースがかなりのウェイトを占めます。
2020年は新型コロナウイルスの影響により、化粧品の輸出取扱額は減少する見込みですが、「新しい生活様式」により
ECでの購入が増えており、海外での需要にも応えるため、化粧品大手では越境ECを強化する動きもみられます。
化粧品を輸出する際、まずどんな準備をしたらいいの?
化粧品は、日本国内の法律で、医薬品医療機器等法(薬機法)の規制対象となっており、
次の①~③のように、条件に応じて必要なライセンス取得や届出の提出が必要です。
①国内流通品をそのままの形で輸出する場合
国内の製造販売業者から仕入れた化粧品をそのまま販売するには薬機法の許可・届出は不要です。
従って、国内向けに出回っている化粧品を、そのままの形で輸出する場合には特別な手続きは必要ありません。
ただし、何らかの事情で海外から化粧品の返品がある場合、化粧品を輸入することになりますので、
「化粧品製造販売業」の許可が無ければ海外からの返品を受けること(再輸入)はできません。
②国内流通品のラベルやパッケージを変更して輸出する場合
法規上、『包装、表示、保管』は「製造」に該当し、輸出先現地の言語表示に変更したり、
容器や外箱のデザイン等を輸出用に変更したりすることは「製造」とみなされます。
これらの行為は「化粧品製造業」の許可が無ければできないので、医薬品医療機器総合機構(PDMA)経由で
「輸出用化粧品製造届(輸出届)」を厚生労働省に届け出る必要があります。
③輸出向け仕様の製品を輸出する場合
製造段階から輸出向けの仕様にした化粧品を輸出する場合は、「化粧品製造業」の許可と、
上記の「輸出届」が必要になります。
鈴与では化粧品製造業ライセンスを取得した倉庫を保有しておりますので是非ご相談ください。
※化粧品製造業(包装・表示・保管)4拠点
化粧品を輸出する際、輸出先国で何をすればいいの?
日本から製品を輸出するということは、輸出先国にとっては「製品を輸入する」という行為にあたります。
化粧品を日本から輸出する場合、相手国のルールに従った手続きも行わなければなりません。
化粧品は、海外の国や地域毎に、日本の厚生労働省が定める「化粧品基準」に相当する規制や基準があります。
安全や品質を確保するために必要なラベル表示や成分規定などのルールが定められています。
例)
EU :EU化粧品規則の付録
ASEAN:ASEAN化粧品指令の付録
US :米国のFDAやCIR等が定める基準
その他にも輸入通関、流通販売についてのルール、化粧品販売に係る許可・登録・届出の手続き、
原料の審査や広告表現の規制等も遵守しなければなりません。
輸出先国の化粧品輸入規制を事前に調査し、準備しておくことが必要です。
化粧品の輸出関係の証明書ってなに?
化粧品は人の肌に直接触れるものであるため、化粧品の輸出入は各国の国民の健康に関わってきます。
それ故、輸出相手国側から適切な管理プロセスに基づき製造されたことを示す証明書を要求されることがあります。
ここでは、一般的によく知られている証明書をご紹介していきます。
①Good Manufacturing Practice(GMP)証明書
これは輸出化粧品が日本の薬事法に基づき適切な構造設備のもと、
製造管理や品質管理の基準を満たしているということを証明するものです。
欧州やASEAN諸国へ化粧品を輸出する場合に要求されることがあります。
②輸出関連書類
1)化粧品製造販売業に関する証明
2)化粧品製造業に関する証明
3)化粧品製造(輸入)及び販売に関する証明
4)製造販売業者の化粧品製造(輸入)に関する証明
5)製造業者の化粧品製造(輸入)に関する証明
*発行者:日本化粧品工業連合会/厚生労働省
輸出先国で必要な証明書は上記のようなものがありますが、輸出先国や申請を行う会社によって異なりますので、
必要書類については輸出先および提出先にてご確認下さい。
以上のように、化粧品の輸出は日本国内の法律や、相手国の規定・ルールが絡むため、
事前の調査や確認、対策を準備しておくことが重要です。
法律や規定の詳細については、厚生労働省、JETORO、PMDA(医薬品医療機器総合機構)にてご確認ください。
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